そんなカミュを見て、ミロは困ったように微笑んだ。


「・・・・あそこにあるのがさ、ノートルダムの鐘なんだろ?」


カミュをそっと抱きよせる。


「あの鐘には、聖母って意味があるんだって、前にカミュが教えてくれた」


声も無く泣きながら、カミュは黙って聞いている。



「聖母で思い出したんだけどさ、俺、前にローマで見たピエタ像が好きっていったじゃん」

「・・・・・・・・・ああ」

「あのマリア様って、カミュに似ているんだよな」

「・・・・」

「綺麗で、泣きそうで、なのにとても温かいんだ・・・」

「・・・」

「ホント今のお前みたい」



 
ちかちかと、エッフェル塔が瞬いている。



「大好きなんだ、お前が・・・」

「ミロ・・・わたしは・・・」

「好きで好きでどうしようもない」

「・・・・」

「あ、なんにも言わなくていいよ。この花の意味、知ってるからv」


ぎゅうっとカミュを抱きしめる。


「だから・・・・そのまま泣いていていいよ。泣いてるカミュも凄い好き」

「・・・」


あやすように髪に優しいキスをされる。・・・今日初めて感じるミロのキス。
最終のバトームッシュが終わったせいで、近くにはほとんど人影は無かった。
その時、ノートルダムの鐘が響き渡った。


「あ、カミュのかわりに鳴いているよ」


抱擁を解いて、ミロはカミュの涙を指でぬぐう。



「・・・・・今日一日、サガと一緒で楽しかった?」

「・・・意地悪を言うな」

「ふふ、俺は今がシアワセだからもういいかなv」


カミュの瞼に、キスをする。