ミロの空腹を満たし、そして2人はルーブル美術館に到着した。


少し予想はしていたが、やはりミロはそんなに好きな場所ではなかったらしい。
ピカソやダヴィンチなどの著名な作品には反応するものの、あとは・・・特に彫刻には退屈そうな視線を送り続けていた。

『まぁ・・・また今度ひとりで来るか』

そう思いカミュは、どうにかミロがその中でもなんとか興味を維持できる絵画のフロアのみを回って、今日は
帰ろうと決心した。

「あ、ほらミロ!」

「ん?」

「以前お前が感心を抱いていたピエタがあっただろう?これも絵画ではとても有名なピエタなのだぞ」

そこにはザヴニョンのピエタの肖像画が展示されていた。

「・・・ピエタってそんなに種類があんの?だって俺が好きなのは彫刻で、これって絵じゃん。なのに同じ名前なの?」

「・・・・・・・」

もういい、出よう。やはり趣味が違う者で来てはいけなかったなとカミュが思っていると、背後から耳慣れた声がした。

「この絵はヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニョンで見つかったという以外なにも分かっていないのだが、15世紀のプロヴァンス派の最も有名な作品であることに違いはない。独特の光と構図を用いて、厳粛な中にも崇高さと悲哀を同居させているとは思わないかい?」