「うっそ〜〜〜!すっごい美味しいな、このケーキ」

気軽なカフェでブランチをすます。

「ああ。フランスは食にもうるさい国だ。それに美味しいものを食べることは、恋愛に良く似ているからな」

「・・・そうなの?」

「どちらも幸福ホルモンが出るらしい」

「・・・・へぇ。じゃあ俺、今昇天しちゃうかも。・・・・凄くおいしいものを沢山食べて、しかも凄く好きな人と一日中一緒にいる」

「ミロ・・・」

「カミュと一緒に食べている、っていうのが実は美味しさの基本なんだよね。俺はいつも」

スプーンについたクリームを舌先でペロと舐めて、ミロが言った。

「・・・・ばかもの」

カミュはうつむいて紅茶を飲んだ。

「なぁカミュ、あのエッフェル塔ってさ、夜になると光るんだろ?」

ここから遠目に映る塔を見る。

「ああ。10分おきにライトアップされる。・・・それはまさに豪華で美しいパリそのものだ。バトームッシュのクルーズからもそれが見えて、・・・・」

ふいにカミュの言葉が止まった。

「カミュ・・・?」

「・・・・・」

「どしたの?」

「よければ今夜、セーヌ川のクルーズ、バトームッシュに乗らないか?お前に見せたいのだ。あそこから見える、ライトアップされたエッフェル塔の美しさを」

「もちろん!カミュのおススメ場所ならよろこんで!」

「そうか。では約束だぞ」

「うん。あ、お姉さん!そのチョコのもちょうだいv」

嬉しそうにスイーツをほおばるミロを見て、ここにきてよかったとカミュは思った。