確かにそれは否めない。
幼かった自分にサガは色んな事を教えてくれた。 そしてそんな彼を自分もずっと慕ってきた。
知性と優しさに彩られた端正な顔と品格。流れる銀の髪と全てを見透かす様な瞳。
それはミロとは違う美しさだとカミュはずっと思っていた。
性格、思考や行動は真反対に位置してるといっても過言ではない2人にも、共通点がある。

それは自分を見て、『とても綺麗だ』といってくれる事。
2人の方がよほど綺麗と思うのだが。

カミュがぼんやりそんな事を考えていると、サガが自分の髪に触れてきた。

「!!」

「ピアスが・・・取れてしまいそうだ」

髪を掻き分けて耳に触れる。

「素晴らしい舞台だが、欲を言うなら今夜はお前の歌も聴いてみたいよ、カミュ」

「・・・サガ?」

何を言いたい?

「シイィ・・・・黙っていて」

耳たぶを指先でつまんで、そのまま・・・

「・・・っん!!」

 

サガが首筋に軽いキスをした。

「サガ・・・何を!!」

逃げようとするカミュの腕を捕えて、サガはカミュに視線を合わせた。

「ふふ、ほんの、スキンシップだよ。 昔の小さなお前を思い出したのだ」

「・・・・・」


サガから逃れて、カミュは髪を指で整える。
まわりには他に誰も居ない、特別な席。
ミロの分だけ空いている。

ミロ・・・・・どうしていない?


喉が渇いてきて、鼓動が落ち着かない。
逃れたいのに、どこかでこんなサガを受け入れてしまっている自分を、カミュはかすかに感じては否定した。