食事を済ますと2人はサガの部屋へ戻ってきた。
部屋の窓からは綺麗な月明かりが見えている。
お酒のせいか初めて入った時より、部屋には気だるさが漂う。
「ワインをもう少し、どうだ?」
「いえ、もう・・・」
「そうか」
上着を脱ぎ、ネクタイを緩めるサガの仕草に、目が覚める。
どうして自分はこんな所にまで来たのだろう・・・。
さっきまでのサガの言動に惑わされている自分をボウっとしながら思い出していた。
その時だった。突然サガはカミュを後ろから抱きすくめた。
「あ・・・」
「カミュ・・・」
吐息が耳元にかかる。
「サガ?!なにを!!イヤだはなせっ!!わたしは、わたしにはっ・・・」
・・・・わたしには・・・・・
自分で言ったのに、その先が続かない・・・。
「それなら何故ここへ来た」
「それは・・・」
言葉を捜そうと頭を巡らすが、上手くいかない。するとふいに唇を寄せられた。
「サ・・!」
ワインとは違う甘い香りに繋がれる。このまま囚われてしまえばきっと楽なのだろう。
だけど・・・。
「サガ!私にはミロを離すことはできない!!」
さっきと違い全力で抗うその姿と、最後のカミュのひと言に、サガは抱きしめる力を緩めた。
カミュの居たたまれない様子にサガはそっとその頬をなでた。
「サガ・・・?」
「・・・・ふふ。やはり酔ったようだ。シャワーを浴びてくる」
そう言うとサガは浴室のドアに近づいていく。
「カフスとピアスは鏡台にあるケースに。あとはその辺に置いておけ」
「今夜は楽しかったよカミュ。これ以上わたしが惨めにならないよう、さぁ・・・行くといい」
優雅な仕草でカミュに視線を送ると、サガはそのまま浴室に消えていった。
ドアが閉まる音に我に返る。
『ミロ!』
その名しか浮かばなかった。
そして カミュ急いで着替えると部屋を後にした。
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