「さて、もうそろそろ日も傾いてきたが。アクエリアス、お主はどのようなかくし芸を見せてくれるのか?」
「私は・・・」
「カミュ・・・」
ミロは不安そうにカミュを見つめます。
「虹を作ります。」
「ほう、さすが水と氷の魔術師だな」
「たしかにオーロラを出現させるくらいだからなぁ、カミュは」
「エッッ!アイオリア、見たことあんのか?!カミュの必殺技!」
「んな訳ないだろ。兄さんから聞いただけだよ。でも兄さんも見たことないってさ」
「そっか。だよな〜、カミュってオレにも絶対見せてくんないんだよな。オーロラ見たいのにな」
聖闘士に2度同じ技は通用しないと本当にこの2人が判ってるのか疑問です。
「リア、ミロ、オーロラと虹では出来る法則が違いますよ」
「しかたなかろう、ムウよ。この2人に説明は無駄だ」
「シャカ、てめぇ最後の最後まで・・・(怒)」
「まあまあ、ミロ。ところで虹って朝と夕方が大きく綺麗にみえるそうですよ。」
「そして夕方の虹は明日が晴れ、朝の虹は明日は雨と東洋では言われている」
「ふ〜ん。」
「お前ら何でそんな事知ってんだよ」
「貴方がたよりは本も読んでますし、授業も聞いてますから」
「お主らが知らなすぎるのだ」
ムッとする2人を無視してかくし芸大会は進みます。
「では、始めます」
カミュが天に手をかざすと何やら雲ゆきが怪しくなってきました。そして・・・。
ザーーーーーーーッッ!!!
「な!せっかく私のおろしたての服がー!!」
アフロは真っ先に軒先へ駆け出しました。
「ほら、俺らはあっちに非難するぞ」
皆、次々に屋根のある方へ皆移動します。
「フム、ではあちらで見物するかな」
「ミロ、何してんだよ。おれらもいくぞ」
「いいよ、オレはここで見てる」
「は?」
「カミュだけ濡れてるのを見るのはヤダよ」
「バカ、カミュはかくし芸なんだから仕方ないだろ」
「いいから、行きますよ。アイオリア」
「何とかは風邪をひかんというしな」
その場にはカミュとミロだけが残ります。
雨の中、空をあおいでいた水と氷の魔術師はミロの方をチラリと見ると何やら呟きました。
「え?」
ミロがカミュに近寄ろうとした瞬間、彼の手から一直線に光が宙に放たれました。そして・・・。
「おお、雨が収まっていく。」
「あ、雲が切れ間から陽が・・・。」
「見て、兄さん、ほらアソコ!!虹が3つも出てる」
「これはスゴイな、アイオリア、お前も少しはカミュを見習ってちゃんと訓練をするんだぞ」
「・・・う。」
カノンの隣にいた兄も一言。
「お前も少しはあの子を見習うんだな。」
「・・・。」
どこの兄も出来の悪い弟は心配です。
「虹の女神アイリスもびっくりだな」
アフロがうっとりと空を見つめています。
「俺は気象予報士がびっくりだと思うがな」
山羊は現実的です。
「よくやった!アクエリアスよ!!皆さぞかし心が潤ったであろう?」
「ついでに身体も潤ったぜ」
「まあまあ。水もしたたる何とか、というではないか」
不満そうな蟹にアルデバランがフォローします。
「まあ、確かに凄いですねぇ」
「私は彼がミロと友人をしている方が凄いと思うがな」
ムウとシャカはカミュの事を色んな意味で感心します。
「では最後にミロ、お主の番だが、楽しみにしているぞ」
「ははは・・・」
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