かくし芸大会3
「新年あけましておめでとう、今年も皆よろしく頼むぞ。」

目前の教皇サマからありがた〜い新年のお言葉です。

「判ってるだろうが、予告どうりかくし芸大会を執り行う」

一同に緊張とため息がつのります。

「さて、では最初は誰かな?」

「・・・・・・。」

皆、教皇から目をそらします。

「さすがにトップバッターはつらいかのぅ・・・そんな事もあろうかとクジを作ってきた」

大羊こういう時には手際がよすぎです。ゴソゴソと箱に手をつっこみます。

「何々・・おお!トップはムウおぬしだぞ」

師の満面の笑みとは対照的にブルーな子羊です。

「仕方ありませんね・・・では私のかくし芸を披露するとします。」

するとどこからか大き目の箱を持ってきました。

「私は手品を御覧にいれたいと思います。見てのとうりただの箱で何の仕掛けもありません。
中が二重とか鏡だとか、ちゃちな手は使用しません。では協力者として・・・アイオリアこちらへどうぞ」

「え?俺・・」

さすが人のいい獅子です。やめときゃいいのに相手を考えずに前に出て行きます。

「この箱の中へ入ってください」

「えっっ!!」

「心配無用です。私が信じられないのですか?」

そのセリフが既に怪しいです。がそこはアイオリアです。

「わーったよ。」

バタン。

「さて、私はこの中のアイオリアをお好きなモノに変えてみせます。何がよろしいですか?」

「ふむ、では・・・今年の干支の犬でどうだ?」

「・・・獅子が子猫に化ける方がリアリティーがあると思うが。」

シャカのつぶやきに一同ひそかに納得です。

「では、1.・・2.・・・3!!」

バタン

「おおーっっ!!」

出てきたのは1匹のチワワです。

「ワン!」

「あ、あれ知ってるぞ!確かクーちゃんとか言うんだろ!俺TVで見たもん、看板下げてたぜ!
ええーっ・・・と何て書いてたっけ・・・」

「『事前にしっかり計画しましょう』だろう。」

「そうそう、よく知ってるなぁ、カミュ」

「まさにお前の為にある言葉だからな、ミロ」

耳が痛い天乃です。

「確かにかくし芸ではあるけど、駄洒落じゃないの?」

アフロディーテは不満げです。

「大体どこかに人を飛ばすのはムウの得意技じゃないのか?アイオリアに同情するぜ(笑)」

10数年後に自分が同情されるハメになるとは思ってない蟹です。

「すごいモノを見せてもらったぞ!なかなかの高得点だ!」

「!!!!!」

一同呆然です。

「お褒めにあずかり恐縮です。では私はこれで終わります」

子羊が席に戻ります。

「よし、次は・・・シュラお前の番だ。期待しているぞ」

「どうせ飛ばすなら教皇にしてくれればよかったものを・・・そしたらこの宴会もお開きになるんだがな」

シュラは心の中で思うのでした。


どうしようもなく続く。どうしよう・・・。