「新年あけましておめでとう、今年も皆よろしく頼むぞ。」
目前の教皇サマからありがた〜い新年のお言葉です。
「判ってるだろうが、予告どうりかくし芸大会を執り行う」
一同に緊張とため息がつのります。
「さて、では最初は誰かな?」
「・・・・・・。」
皆、教皇から目をそらします。
「さすがにトップバッターはつらいかのぅ・・・そんな事もあろうかとクジを作ってきた」
大羊こういう時には手際がよすぎです。ゴソゴソと箱に手をつっこみます。
「何々・・おお!トップはムウおぬしだぞ」
師の満面の笑みとは対照的にブルーな子羊です。
「仕方ありませんね・・・では私のかくし芸を披露するとします。」
するとどこからか大き目の箱を持ってきました。
「私は手品を御覧にいれたいと思います。見てのとうりただの箱で何の仕掛けもありません。
中が二重とか鏡だとか、ちゃちな手は使用しません。では協力者として・・・アイオリアこちらへどうぞ」
「え?俺・・」
さすが人のいい獅子です。やめときゃいいのに相手を考えずに前に出て行きます。
「この箱の中へ入ってください」
「えっっ!!」
「心配無用です。私が信じられないのですか?」
そのセリフが既に怪しいです。がそこはアイオリアです。
「わーったよ。」
バタン。
「さて、私はこの中のアイオリアをお好きなモノに変えてみせます。何がよろしいですか?」
「ふむ、では・・・今年の干支の犬でどうだ?」
「・・・獅子が子猫に化ける方がリアリティーがあると思うが。」
シャカのつぶやきに一同ひそかに納得です。
「では、1.・・2.・・・3!!」
バタン
「おおーっっ!!」
出てきたのは1匹のチワワです。
「ワン!」
「あ、あれ知ってるぞ!確かクーちゃんとか言うんだろ!俺TVで見たもん、看板下げてたぜ!
ええーっ・・・と何て書いてたっけ・・・」
「『事前にしっかり計画しましょう』だろう。」
「そうそう、よく知ってるなぁ、カミュ」
「まさにお前の為にある言葉だからな、ミロ」
耳が痛い天乃です。
「確かにかくし芸ではあるけど、駄洒落じゃないの?」
アフロディーテは不満げです。
「大体どこかに人を飛ばすのはムウの得意技じゃないのか?アイオリアに同情するぜ(笑)」
10数年後に自分が同情されるハメになるとは思ってない蟹です。
「すごいモノを見せてもらったぞ!なかなかの高得点だ!」
「!!!!!」
一同呆然です。
「お褒めにあずかり恐縮です。では私はこれで終わります」
子羊が席に戻ります。
「よし、次は・・・シュラお前の番だ。期待しているぞ」
「どうせ飛ばすなら教皇にしてくれればよかったものを・・・そしたらこの宴会もお開きになるんだがな」
シュラは心の中で思うのでした。
どうしようもなく続く。どうしよう・・・。
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