かくし芸大会5
「では芸を始める前に1つお願いがあります」

「何でも言うてみよ」

「これから私が言う事はあくまでも善意である事をご理解願いたい」

「???」

「では、始めるとする。そうだな・・・ではそこの片割れ、前に出てくるがよい」

シャカが指差した方向に居たのは帰ろうとしているカノンです。

「は?何で俺が・・・」

「私の占いは百発百中だ。君の未来を占ってやる」

「はああ?!占い?!?冗談だろ、俺は興味ないね」

「手相から西洋占星術まで私に出来ない占いはない。この場で運がなさそうな順で選んでやったのだ。有り難く聞くがよい」

お釈迦様の有難くない説法の始まりです。

「いいから、出て行けカノン」

サガが後押しをします。

「わーったよ、ったく占いなんて女のする事だろ」

魔鈴とシャイナが居たら吹っ飛ばされる事確実です。

「インドは占いをひじょうに重んじる国なのだ。」

「あっそ、で、どうなんだ?」

皆、他人ごとなので興味深々です。

「ううむ・・・君は大変な星の下に生まれてきたのだな」

それはここにいる全員に当てはまる事でもあります。

「そりゃどーも」

「将来に水難の相が見える」

「俺、泳ぎは得意な方だけど?」

まさか実の兄に幽閉され、その後海底で暮らすとは思いもよりません。

「そのまた将来に仲間と揉める暗示も出ているようだ」

まあアンタレスを打たれないだけマシです。

「あれもこれも女性に原因があるようだな・・・」

総ては女神に拳を向けた報いと思われます。

「おっかしいなぁ、街で女に声かける時はサガのフリしてんだけど。恨みをかった記憶なんか・・・」

「何だと!カノン貴様、何考えてる!!」

この頃から自分に成り代わられる事が嫌いなサガです。日ごろの兄弟喧嘩に油を注いだ模様ですが乙女のしった事ではありません。

「では次は・・・」

皆、シャカと目を合わせないようにします。もとい目はつぶっているのですが。そんな中向こうから誰かやってきました。

「ったく、ヒドい目に遭ったぜ・・・ちくしょうムウのやつ、メテオラまで飛ばしやがって・・・」

獅子タイミングよすぎます。

「アイオリア、ちょうどいいとこに帰ってきたな」

「シャカの番なのか、何やってんだ?」

「ここへ来たまえ。占いで君の未来を見てやろう」

「だったらこんな事になる前に見てほしかったね」

「大事の前の小事だと思いたまえ。」

個人的にはとても思えません。

「・・・君は将来・・・」

「将来、何だよ?」

「かなり酷い目に遭う」

こんな占い師イヤです。

「はあ?!どんな目だよ」

「・・・・しいて言うなら髪を赤く染めるくらい嫌な出来事に遭遇する」

「おいカミュの真似するなよ、お前が赤い髪しても似合わねえよ」

ミロが口を挟みます。・・・が某E設定ではそうなってます。

「まあ、その時はまた私を頼りたまえ。お払いをしてしんぜよう」

「はあ・・・でも将来っていっても、結果がすぐ出ないとお前の占いが当たってるか判んないじゃん」

「そうだな、俺の事だってそうだ。」

カノンも同意します。

「よかろう、そんなに言うなら短時間先の事を教えてやる。君達は2人揃って・・・」

「揃って・・・?」「どうなるんだよ?」

アイオリアとカノンが身をのりだします。

「身内に振りまわされる」


「・・・・・・。」
「・・・・・・。」


「では私のかくし芸はこれで終わります」

一同は静まりかえります。確かコレはめでたい催しものだったハズです。

「今度は私も占ってもらおうかの」

そう言う教皇をシャカはジッと見ると心の中でつぶやきます。




『・・・将来がある事をお祈りします』




「では次は・・・アイオロス、お主の番だ」

「あ、はい・・・では・・・」

珍しく浮かない表情で前に出てきます。そしてふと思うのでした。

『さっきシャカが言ってた事は本当だろうか・・・』

同じくサガも考えます。

『身内に振りまわされているのは私の方なのだが・・・』

両者、弟を想う気持ちに嘘はありません。ただ方向性がビミョウなだけです。

「ではわたしの芸を始めます」


ヤバい・・どうしたものか・・・と思案中のまま続く。