「では私のかくし芸ですが」
そういうと弓と矢を出しました。
「ほお?サジタリアスの弓ではなさそうだが?」
「はい、この弓は趣味の物です。後はコレです、あちらの台に置きます。」
「ミロ?・・・いやいや、リンゴを置いてどうするのだ?」
歳のせいか相変らずマジボケな大羊です。
「そのリンゴを500m離れたところから射抜きます」
「ふむ、500mとはかなり離れておるなぁ」
そう言うとアイオロスはリンゴを置き駆け出しました。そして位置を確認すると・・・
ヒュンツッ
あっという間にミロ、いえリンゴは真っ二つです。
「見事!!さすがだな」
「では、教皇。次は目隠しをしてリンゴを射抜きます」
勿論アイオロスにシャカのような特技はありません。
「ふむ、それは本当に凄いな」
「はい」
アイオロスは目隠しをすると弓を構えました。全員が息をひそめて的のリンゴを見ています。そして・・・
ズバッッ!!
「おおーーーっっ!!」
一同から歓声と拍手が溢れます。
「すごいよな〜、アイオロス」
ミロの呟きにカミュが答えます。
「ああ、まるでウイリアムテルのようだ」
「何だそれ?」
「知らないのか?スイスの弓の名手の話を。」
「ううーん、ロビンフッドなら何とか・・・」
「スイスは14世紀、ハプスブルグ家に支配されていた。そしてハプスブルグ家の代官の怒りをかい捕らえられたウイリアムテルは勇敢にも脱出し、それに感銘した農民達がオーストリア軍と戦って勝利を得た・・・・という話だ。」
「へえ?」
「カミュ、大事な事を言い忘れてますよ」
後ろで聞いていたムウが付け加えます。
「代官が無理難題を吹っかけるんですよ。」
「どんな?」
「ウイリアムテルの子の頭上にリンゴを乗せ、射抜いてみろって言うんです。」
「んで?んで?んで?」
「勿論、見事に射抜きます」
「まあ、あくまでも物語だ」
「それは良い案だな!」
「き、教皇?!」
瞳を輝かせる教皇に皆、かなりイヤーな予感がします。
「おい、アイオリア、お前、的になれってさ?」
愉快そうにカニが言います。的はあくまでもリンゴです。
「え?!?」
「何だよ、お前兄貴.の腕が信用出来ねェの?」
「そんな事!!・・・ナイ・・・けど・・。」
「・・・身内に振りまわされる」
先刻のシャカの占いが頭をよぎります。
「・・・こんな事に成りかねないから、全体の話をしなかったのだが・・・」</font>
カミュは、タメ息をついて思うのでした。
アイオロス編、後半へと続く。
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