夏休み子供劇場2005 -その11-

今日は小学生の運命の日、8/31日です。
当然年少組の宿題もかかっている日です。終わらなければ、というより事実がバレたら、ちゃぶ台返しの刑スペシャルが待っています。

「さて、明日は世にいう始業式です。当然、宿題提出日です。皆さん自分の割り当ての分を出してください。」

ムウが言います。

「まず私の『図画工作計2点』ですが、終わらせましたよ。全員分で10点」

「おおーっっ!!」

一同から歓声が上がります。

「では、まずコレはシャカの分、こっちはカミュ。」

「フム、さすがに私の事を考慮した作品だ。礼をいうぞ」

「ありがとう、ムウ」

「いいえ、聖衣の修復に比べれば・・・あ、これはアイオリアとミロの分です」

「あ、サンキュー」

「なあ、コレ出しても大丈夫かな?」

アイオリアは渡された作品をみて少し不安になります。何しろシオン様がゴミのようだと評価したシロモノです。勿論そんな事は言えません。

「貴方ならではの芸風がよく出ていると思いますよ。ほらダイナミックな感じのところなんか!」

「そっかぁ〜、ありがとうムウ」

「いいんですよ〜、そういっていただけると私も作った甲斐もあるというものです」

獅子、羊にすっかり丸め込まれています。

「このシャカ担当の『ドリル』は先日配ったはずだ。皆書き写したであろう?」

シャカが言います。

「ああ、助かったぞ」

「ありがとなー」

「ありがとう、シャカ」

「くだらない問題集だったが。」

人により違う答えを書いてあるというのは勿論言えません。

「私の『古典ギリシアの文法』も全て終わらせてある。帰って書き写すといい」

「お疲れ様でしたね、カミュ」

「本当にな、ギリシャ人が2人もいてこのザマとは。」

「仕方ありませんよ。何せ2人は国語(現代ギリシャ語)の文法も微妙なんですし」

ムウとシャカの突っ込みに2人は返す言葉もありません。

「悪かったよ。」

「ごめんな〜カミュ」

「もういいから。次にいこう」

カミュはすっかり疲れている模様です。

「次は俺・・・『聖域の生き物研究』だけど、こんなんでいいかな〜」

アイオリアが調べたレポートを出します。

「一体何を調べたんです?」

「まあ、色々と。川の魚とか、森の動物や昆虫、あとは海の鳥とか・・・。どうかなぁ?」

「フム。アイオリア、キミにしては上出来であろうな。では帰って清書するとしよう。ところでコレは1人で調べたのかね?」

「う・・・実は兄さんに手伝ってもらったんだ・・・。」

「それを聞いて安堵したぞ。これで安心して提出できるというもの」

「ホントにあなた1人ではどうなる事かと思いましたよ」

「え・・・・・?」

アイオリアの返答に一同は胸をなでおろします。

「さて、ミロ。貴方割り当ての『自由研究』ですが。どうなりました?」

「・・・・・。」

「まさか手をつけてないのではなかろうな?一体どうなってるのだね、カミュ?」

「何故私に聞く?」

「キミはミロの保護者であろう?」

「な、なんで私が!!」

その場で否定するのはカミュだけです。

「ミロ、お前何してんたんだよ!」

「一応やった。」

「え?お前何の研究してたんだ?」

「けど、俺1人じゃ無理な研究なんだよ。」

「どういう事なのかね?」

「実はさぁ・・。」

その様子を物陰から見ていたのは双子の片割れカノンです。

「あのガキども・・・。サガの言うとおりだな」

そのガキどもに散々振り回されてきたカノンです。大人気ないと言われようと、ここは日頃の恨みを返す千載一遇のチャンスです。

「明日の始業式が楽しみだな、フフフ・・・。」

そうつぶやくとその場を立ち去っていきました。一生懸命話込んでいる彼らはカノンの気配に気づきません。

「成る程な・・・。そういう事か」

「ふーん。」

「まあ確かにキミ1人では無理な話だな。」

「でも、着眼点はすごくいいと思いますよ。それに私達が揃えば何とかなるかもしれません」

「え、じゃあこの研究でオッケーなのか?」

「ああ、構わない」

「俺もいい!」

「そうだな」

「協力しましょう」

そういって5人は何やら始めるのでした。

はたして明日は元気に登校できるのか?年少組!!(笑)


波乱の最終回へと続く。