夏休み子供劇場2005 -その7-

今日は宿題作戦会議です。

「皆来てますね?では途中経過を各々話してください。」

ムウが進行役を務めます。

「では、私の任されているドリルの状況だが・・・一応終わらせたぞ。」

「え!!スッゲーなシャカ!!」

アイオリアはびっくりです。

「くだらない問題だらけだったがな。ちゃんとそれぞれのレベルで解いてある。」

そう言うとシャカは各自に紙を配り始めました。

「それを写すといいぞ。さすがに筆跡が違うとマズイだろうからな、自分で書き込むといい。」

「わーいラッキー!」

ミロは嬉しそうです。いつもなら最終日にカミュに手伝ってもらいながらするところです。しかし自分のレベルで解かれてあるというセリフは聞こえてません。

「さすが仕事が速いですね、ちなみに私の方も順調ですよ。シオン様もお気づきになられてないようですし」

先日ゴミと間違われた作品をリアが造ったモノだ、と言い訳したことは内緒です。

「で、カミュ。あなたはどうですか?古典ギリシアの文法でしたよね?」

「ああ、大体終わらせたが。」

「すいませんねぇ、フランス人のあなたにこのようなモノを任せてしまって」

「仕方なかろう。なんせ2人いるギリシア人が全くアテにならないのだからな」

シャカが補足します。

「う・・・。」

「悪いと思ってるよ・・・。」

「本当に悪いと思うなら勉強しろ。」

カミュが諦めたようにさとします。

「はーい。」「はーい。」

返事だけは素直な2人です。

「で、アイオリア。あなたの分はどうなってますか?聖域の生き物研究。」

「う・・ん。今取り敢えず、カブトムシとクワガタとチョウと・・・」

「なんだかワンパターンですねぇ」

ムウが呟きます・・・。

「わたしは虫は好きではない。他の生物にしてくれたまえ」

シャカは相変らずです。

「ええーっ!!そんなぁ」

「アイオロスと一緒に行けばいいじゃないですか。きっと手伝ってくれますよ」

ムウ、兄の性格を把握しています。

「そうだな。彼は弟バカだ」

シャカも納得です。

「兄さんはバカじゃないぞ!」

「はいはい。で、最後にミロ・・・。どうですか?自由研究は?」

「それが・・・。」

「はい?」

「思ったより難しくて・・・。」

「まあ、そんな事だろうと思いましたがね。」

「だって自分のレベルで研究するなってカミュに言われてさ・・・」

「至極当然であろう。キミと私の脳ミソではシワの数が違う。」

きっぱりとシャカが言い放ちます。

「うるさい!どう違うってんだよ!!」

「夏の夜、真南に見える星座を言いたまえ」

「え?ええ〜っと?何だっけ・・・?水瓶座かな?」

「お前の星座だろ、ミロ・・・。ハァ・・・。」

カミュがタメ息をつきます。

「あははは、バっカだな〜、ミロってばさ〜」

「アイオリア、英国の正式名称を答えてください」

「え・・・?英国?えっと・・・ロンドン?」

ふいをつくムウの問いに慌てて答えます。もはや対岸の火事ではありません。

「ロンドンは首都です。」

「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国)だ。
面積24万4820km2、通貨単位英ポンド。キミも人の事を笑っている場合ではないぞ」

シャカが代わりに答えます。

「世界の国の事を知っていてソンはないですよ。大体聖闘士として出張に行った際何かと困ります。」

「はい・・・。」

羊と乙女の攻撃に獅子もすっかりテンションが下がります。

「話を戻しますが自由研究って実は一番難しい課題なんですよねぇ」

ムウが考えはじめます。

「そうなのだ、私もうかつだった。」

カミュ、人の事なのに自分を責めてるあたりはやはり苦労性です。

「取り敢えず街の博物館などに行ってはどうなのだね?少しはヒントがあるかもしれぬぞ」

シャカ、たまにはまともな事を言います。

「カミュ、お手数ですけどアナタもミロについて行ってもらえませんか?」

「・・・仕方ないな・・・。」

「マジマジ?うわーい、やったね!」

「その代わり死ぬ気で頑張ってくださいよ。」

 

「何を頑張るのじゃ?」

 

突然のその声に一同は凍りつきました。

「ど、ど、童虎さま!!何故ここに!?」

日頃沈着冷静のムウも例外ではありません。

「どうしたのじゃ?皆で仲良く何の相談じゃ?」

「それはこっちのセリフです。花火大会が終わって五老峰にお戻りになられたのでは?」

「ああ、夏休みいっぱいここに居ようと思うてな。」

ジジイ、調子にのってる模様です。

「はあ、そうなんですか。それはシオン様もお喜びになるかと思います。」

「そうであろう、つもる話もあるのでな。」

「あの・・・童虎・・さま・・。」

「ん?何じゃアイオリア」

「アナタの時代には夏休みの宿題はあったのですか?」

「宿題?何じゃソレは?」

「ほらほら、世間の子供らに出る夏の足かせだよ!」

「ミロ!口の利き方に気をつけろ!」

「ははは、別によいぞカミュ。歳は違えど我らの立場は同じであろう?」

「だよなー、さすが話が分かるぜ!」

蠍はこんな調子だから教皇に「は?」など言えるのです。

「おお、宿題の事であったな。はて、どうであったかな・・あったような気もするが、した記憶もないような・・。」

『あまりに昔のことで忘れたに違いないんだろうなぁ』

と一同心の中思います。

「その宿題が私らにも出されているのです」

「そうそう。てんこ盛りね。」

「なら手分けしてやればいいではないか。各々得意分野があるであろう」

「え?!」

思いもよらない童虎の発言に一同は固まってしまいました。

「そ、それは・・・ルール違反では・・。」

「・・・黄金聖闘士に1番必要なのは何だと思う?」

「え・・?判りません・・。」

「ワシはチームワークだと思うぞ」

「・・・・・。」

「どうも今期の黄金には1番欠けているモノではないかと思うのじゃが・・。」

童虎さすがです。だてに歳喰ってるワケではないようです。

「勿論、強さは必要だがの、適材適所というであろう?」

「ですが、宿題をカンニングしたと知れると、シオン様・・いえ教皇にどんな目にあうかと・・・。」

「だよなぁ、どこまで飛ばされるか。」

「まあ多分隣国のトルコあたりまでは確実だろうな」

皆ちゃぶ台返しのコトをを想像してるようです。

「シオンはヘンなところで頭のカタい奴だからのお。」

さすが旧知の仲・・・。よーくご存知のようです。

「まあ、何か相談があるなら天秤宮に来るとよい。夏休み中はおるのでな」

「ありがとうございます」

子供たちがお礼を言うと童虎は去って行きました。

「へー、いい人だよなぁ」

アイオリアはしみじみと思います。

「ホントホント。お前の師匠とはえらい違いだぜ、ムウ」

ミロは大羊と比べます。

「余計なお世話ですよ。言われずとも私は身をもって知ってますから」

「しかしチームワークが1番必要とはな・・・私らはそんなにバラバラなのかな?」

カミュはそのうち身をもって知ることになります。いえ、1番痛感するのはムウかも知れません。

「まあよい。とりあえず今日は解散だ。これ以上誰かに見られてはマズイからな」

シャカのその言葉を聞き皆四方に帰って行きました。

続く・・・。

頑張れ年少組!チームワークでハーデス軍を倒すその日まで!!(笑)