夏休み子供劇場2005 -その8-

暑い午後の昼下がりミロとカミュは街の博物館へやって来ました。

勿論夏休みの宿題である『自由研究』の為です。

当然カミュはミロの付き添いです。

「カミュ、アイス食べようよー」

「宿題を済ませたらな」

「じゃあ海に行こうよー」

「研究内容が決まったらな」

「・・・はぁ、世の子供らに同情するぜ。」

ミロよ人に同情してる場合ではありません。

博物館に2人が入るとあまり人はいませんでした。

「うへー、貸しきり状態かよ、ま、こんな石ころみてもつまんないよなぁ」

歴史的遺産もミロには石ころらしいです。

「で、何を研究する?」

「どれでもいいよ、だってどれも解んないし、カミュ決めていいよ」

「ミロス島からはミロのヴィーナスだって発見されてるだろ」

「ミロ(俺)のヴィーナスはカミュだけだよ」

そんなセリフを素で返すあたり、やはり彼もフツーの子供ではありません。

「そうだ!じゃあカミュを研究する!」

そのセリフにカミュは絶句です。が我に返ります。

「ば、バカじゃないのか!お前!!」

そのバカがいずれ有言実行するなど、まだカミュは知る由もありません。

「わーったよ。じゃあ聞くけどカミュは何の研究をするつもりだったのさ?」

「わたしは・・せっかくだからオーロラの研究でもしようかと思った」

「ふーん、じゃまずソレ決定ね」

「え・・でもお前判らないだろ、見たことだってないのに」

「じゃ見せてよ、カミュ作れるんだろ」

「・・・・・ダメだ」

「どうしてさ?」

聖闘士に1度みたワザは通用しない・・・。それが必殺技ならなおさらです。

「もういい。わたしは自分でやるから、お前は自分の分をまずやれ」

「えーでもそれじゃ悪いもん」

「事がバレる方が悪いだろう!!」

「おや?どうした?こんなとこで2人仲良くデートか?」

声の主はまさにヴィーナス、アフロディーテです。

「わっ!何だよ?!アフロなんでこんなトコに??」

「相変らず失礼なジャリだな。私はココにはよく来るのだ。綺麗なものを観にね」

「ふーん。俺らは宿題の自由研究なんだ。でもこれがなかなか難しくてさぁ」

「ああ、私も2年前は同じ身の上だった」

「今は違うのか?大きくなったらもう宿題ないんだろ?」

「ないどころか増える一方だ。大きくなるにつれ宿題よりも解決不能な問題だらけさ」

そういうアフロディーテも未だ世間一般では子供なのですが・・・。

しかしその言葉に2人は黙りこんでしまいました。

まあ出来る事も増えるのだから、そんなに落ち込むな。楽しみも増えるのだし」

「ホントに?どんな?」

「そうだな・・例えば・・」

アフロディーテがボソボソと何事かをミロの耳に囁きました。

「マジ?!それホント?」

「ああ、そうだ。研究なら2人で私の薔薇でも見にくるか?お茶ぐらい出すぞ」

「うん、行く行く!ありがとう」

何だかんだいいつつ面倒見がいいアフロディーテです。そして奥の展示部屋へ去って行きました。

「なあ、カミュ。今より難しい問題なんて俺解けるのかなぁ・・・。」

「世の中には絶対解けない問題もあると、わたしは思う。」

「じゃあ・・・」

「でも宿題は解くものだ」

「・・・ハイ・・。」

間髪いれないカミュの言葉にミロは頷くしかありませんでした。

続く。

頑張れミロ!今日で8月も半分だ!!宿題提出まであと半月。



以下がアフロが囁いた内容です。

「大きくなればカミュともっとベタベタ出来るのだぞvチューだって、それ以上の事だって・・・クスクス」

『チューは嬉しいけど、それ以上の事って何だろう・・・。』

ミロは考えます。

お子様にはまだ解からない模様です。