ガチャン!
「わっ!」
ドサドサ
「わわっ!」
バサバサバサ!!!
「・・・・・はぁ・・・。」
「アイオロス。やはりソレは買ってきたほうがいいのではないか?」
横目で様子を伺っていたサガはロスの様子に限界です。
「うーん・・・。誕生日といえばケーキと花だろ?折角だから手作りで、と思ったんだけどな」
「それはそうだが・・・私にはソレがケーキに見えないぞ」
「うへー、何やってんだよ。こんな夜中に2人して」
「いいとこに帰って来たなカノン。お前も手伝え」
「な!何でだよ」
「アイオリアの誕生日なんだ」
アイオロスが返答します。
「ふーん、でサプライズパーティーなのか?ソレは?」
「やはりケーキには見えないようだぞ。」
「そうかなぁ、味は美味しいと思うが」
不器用にもほどがある・・・と思う双子です。
「それじゃダメだ」「ほら、貸せよ」
サガとカノンが同時に口を開きます。
さすが双子以心伝心です。そしてソレの形を整えはじめました。
「へーっ。すごいな2人とも。」
「普通だと思うが」
「そうそう、お前が不器用すぎんだよ」
そしてソレはケーキという名の物に形を変えました。
「こんなものかな」
「2人ともありがとう。きっとアイツ喜ぶだろうな。あ、パーティには来てくれよ」
「他の皆も来るのだろう。」
「ああ。教皇もおいでくださるそうだし」
「・・・・。」
教皇という言葉にサガが黙りこみます。すでにトラウマになりつつあるようです。
「しかも今年は例の友人も滞在中らしいじゃん。」
カノンのセリフにアイオロスも黙りこみます。
2人が不安になるのも仕方ありません。
『肝試し大会』『花火大会』での惨劇が脳裏をよぎります。
「どうしたんだよ?2人して急に?」
「いや、別に。」
「・・・ありがとうカノン。パーティは午後5時からだから。絶対来てくれよ」
「あ、ああ?」
「じゃあ、ありがとうサガ。また後で」
カノンはアイオロスが双児宮を後にする様子をみながら心の中はつぶやきました。
『あーあ、いいよなぁ。弟想いの兄貴がいて』
「私とてお前の事は考えているぞ」
突然のサガの言葉にカノンは飛び上がります。
「な、な、何でそんなこと!」
「お前の考えてる事などお見通しだ」
『サガには勝てない・・・・。』
カノンは改めて思うのでした。
***
ギィ・・・
「兄さん・・・」
「あ!アイオリア、おはよう!ん?どうしたんだ、お前顔が赤いぞ」
「なんか気持ち悪い・・・」
「えっ・・・。」
***
「おいおい、主役はまだ来ないのかよ〜」
既にアルコールが入ってる蟹が言います。
「せっかく朝一番に咲いた薔薇を摘んできたというのに」
魚も待ちくたびれてる様子です。
「なあ、アイオロス。アイオリアはどうかしたのか?」
リアの部屋から出てきたロスにシュラが尋ねます。
「それが・・・どうも風邪をひいたらしくて、熱が39℃もあるんだ」
「え〜!!せっかくみんなでプレゼント選んだんだぜ!会えないのか?!」
「仕方ないだろう、プレゼントは置いていくから大事をとって休ませてやれ。」
カミュがミロをなだめます。
「ふむ・・・何とかは風邪などひかぬと聞いたがやはり迷信か」
「知恵熱ですかね・・・夏の宿題の。ちょっと無理が祟ったのかもしれません」
シャカとムウは相変らずです。
「悪いな・・・俺がもう少し気をつけてやればよかったんだが」
「アイオロス、君はよくアイオリアの事を面倒みてるよ」
「そうそう。過干渉な程にな」
サガのセリフにカノンが同意します。弟への過干渉はサガも似たようなものです。方向性は真逆ですが。
そういって皆は帰っていきました。
***
「おや?皆どうしたのだ?」
獅子宮から出てきた面々にシオン様と童虎が尋ねます。
「それが、アイオリアが熱を出してパーティが中止になってしまいました。」
ムウが答えます。
「あ〜あ、せっかくご馳走食べれるかと思ったのにな〜」
「ミロ!はしたないぞ!!アイオリアの身にもなれ!」
「だってー、カミュ・・・」
「聖闘士といえど万能ではないという事だ。それがあのアイオリアでもな」
シャカには含むところがあるようです。
「ふむ・・・そうなのか。それは非常に残念であるな。我らもせっかく楽しみにしてたのであるが。なあ童虎?」
「うむ。誰かを祝うのは久しいからのう」
「!おお!そうだ!!名案があるぞ!」
そのセリフにサガに悪寒が走ります。
『イヤな予感がする・・・』
***
「・・ごめん兄さん・・」
「仕方ないだろう。ほら皆からのプレゼントだ」
「みんな怒ってるよねえ・・・俺バカだな・・・」
馬鹿は風邪をひかないと知ったら喜ぶかも知れません。
「何いってんだ、皆心配してたぞ」
ミロがご馳走にありつけなくて残念だ、と言っていた事は内緒です。
その時です。ものすごい轟音と閃光が鳴り響きました。
「な!!まさか敵が?!」
アイオロスが窓の外をみるとそこには無数の星が地上に降り注いでます。
「な・・・!!あれは!ほらアイオリア!!見てみろ!」
「え・・・?!あ!!すげ〜綺麗だ!!」
「よかったな、皆がお前の為に用意してくれたに違いないぞ!」
「うん!すごい元気が出てきた!」
「アイオリア、お誕生日おめでとう!ほらケーキだぞ」
「うわ〜v ありがとう、兄さん、ありがとう・・・みんな」
***
「レオといえば『しし座流星群』であろう!!のう童虎?」
「おお、名案じゃ!ワシら黄金聖闘士にとって星を作り出すなど容易なことよ。ほれほれお前達、さっさと拳を振るわぬか!若いくせしてなんじゃ、そのへっぴり腰は!」
いくら黄金聖闘士とはいえ全力で技を振るい続けることは大変です。
「こんなの訓練と変わんないじゃん!カミュ!これでもパーティお開きでよかったのかよ?!」
「こんなのは想定外だ!」
「ミロ。ちゃんと前を見らねば建物に当たっておるぞ。おや、また何か崩壊したようだが」
とりあえずシャカが注意します。
「シオン様、色んなものが壊れてるようですがいいのでしょうか?」
ムウが一応尋ねます。
「形あるものはいつかは壊れるものだ」
「そうそう。しかし花火よりも迫力があるのう」
シオン様と童虎の返事に皆が深くタメ息をもらします。
「サガ、諦めろよ。あのジジイどもが教皇な限りな」
カノンは横に立ちつくしている兄につぶやきます。
「・・・・・・。(怒)」
***
翌日サガが山のような後始末のために膨大な書類を持って執務室に入ったのは言うまでもありません(笑)
続く。
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